約150万人の患者数がいる脳卒中の分類と特徴

国内に約150万人の患者数がいるとされる脳血管障害は、前触れ症状がほとんどないまま、突然、発作を起こして意識障害や言語障害、手足の麻痺などをきたすことが多く、一般的に「脳卒中」と呼ばれています。つまり、脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳の血管の病気の総称です。

高血圧は脳血管障害のリスク要因

脳卒中は治療法や予防法の進歩によって、死亡率はがん、心臓病、肺炎に次いで第4位まで下がりました。しかし、現在でも脳卒中で倒れる人は依然として多く、高齢社会を迎えた日本では逆に脳卒中は増えています。脳卒中の後遺症のために日常生活に支障をきたし、寝たきりの原因となってしまうことも少なくありません。

脳卒中の原因は大きく分けると、血管が破れて出血する「脳出血」と「くも膜下出血」、血管が詰まってしまい脳の細胞が壊死してしまう「脳梗塞」に分けることができます。脳梗塞にも種類があり、血管自体が動脈硬化などで狭窄し、血流が滞るのが「脳血栓」です。また、心臓などから血の塊が動脈を通って頭部に運ばれて細い血管に詰まってしまうのが「脳塞栓」です。

脳出血
脳出血は、高血圧が最大の危険因子となる50~60代に多く発生する出血性の脳卒中の代表的な疾患です。脳出血は、大脳深部にある被殻、視床という部位に起こりやすいのですが、その理由はこの部位に血液を送る細い穿通動脈に発生した小さい動脈瘤が破れてしまうためといわれています。

脳は周囲を骨に囲まれて守られているので、出血すると周りを圧迫してしまいます。圧迫を受けた脳は機能が失われ意識障害が起こり、圧迫を受けたほかの血管が破れて二次出血を起こすこともあります。

圧迫のため脳が脳幹の方へ押し出されると脳幹を圧迫し、生命中枢が破壊されて死につながります。出血でできた血腫が大きい時には、迅速に取り除いて脳への圧迫を防ぎ二次的合併症を防ぐことが大切です。

脳梗塞
脳の血管あるいは脳へ至る警部の血管が閉塞した時に血流が途絶えてしまし、そこから先の脳の細胞に酸素と栄養が届かなくなり脳が壊死してしまう状態です。脳血管の閉塞には、閉塞部位そのものに起きる「脳血栓」と、心臓などから凝血片(血の塊)が血流にのって脳に流れてきて閉塞する「脳塞栓」に分けられます。

脳梗塞の前触れとして注意したいのが、「一過性脳虚血発作(TIA)」です。これは脳の血液循環が一時的に障害され、手足の麻痺、呂律が回らない、視野が欠けるなどの神経症状が起こり、数時間以内、遅くとも24時間以内に消失し、その後は何の症状もない一過性の発作のことです。

これらの症状が治まっても、次は本格的な脳梗塞の発作が起こることが少なくないため、TIAは脳梗塞の前触れ症状として受け止め、脳神経外科で検査を受けることが大切です。TIAを起こした患者さんの約半数は4年以内に脳梗塞を起こすという報告もあります。

TIAの原因は完全に解明されていませんが、頸動脈の内腔が狭窄し、そこにできた血液の塊が血流によって脳へと運ばれ、微小塞栓を起こすという考え方が有力です。しかし、脳の血管に狭窄・閉塞があり、血圧が低下した時に血液の循環が悪くなり脳虚血の症状が現れるとも考えられます。

くも膜下出血
高血圧が誘因となる高血圧性脳出血が高齢者に多く起きますが、脳卒中の約10%を占めるくも膜下出血は、高齢者だけでなく働き盛りの若い年代におこります。くも膜下出血の原因の大半は脳動脈瘤の破裂ですが、まれに脳動静脈奇形、モヤモヤ病、脳腫瘍などでも起こります。

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は、40~50歳代によく見られます。脳動脈瘤は、脳の血管壁に先天的に抵抗の弱い部分があり、そこに高血圧などで圧力がかかって次第に膨れて形成されます。破裂前の未破裂脳動脈瘤は脳ドックで発見機会が多い脳の病変の一つです。