脳卒中地域連携パス:医療機関の連携で質の高い治療を実現

脳卒中を発症した多くの患者さんには、手足の運動機能、言語、認知・行動などの障害が現れますが、現在では後遺症を最小限に抑えて、早期の社会復帰を実現するために急性期治療の段階から並行してリハビリを開始します。

脳神経外科医が頭部MRIを読影

患者さんは、発症直後の「急性期」、リハビリが中心となる「回復期」、病状が落ち着く「慢性期」の各段階で、質の高い治療を一つの医療機関で受けられるのが理想ですが、そうした医療機関は都市部のごく一部の大病院に限定されます。

そこで注目されているのが、かかりつけ医と医療機関(急性期・回復期リハ病院、維持期リハ施設など)の連携もしくは病院間の連携によって、効果的に脳卒中患者の自立と社会復帰の支援を目指す「脳卒中地域連携パス」です。

ここでいう「パス」とはクリニカルパスの略で、患者さんにとって最適な治療計画のことで、このパスに基づいて、脳卒中専門医、看護師、リハビリスタッフなどは質の高い治療を提供します。院内で用いるパスは「院内パス」といい、これに対して、医療機関の間で用いるものを「連携パス」といいます。

連携パスでは、各医療機関が得意とする分野を担当しながら連携を行うことで、切れ目なく脳卒中の治療を行うことができます。まず急性期病院で行われた治療内容、画像所見、治療経過などの医療情報が、回復期リハビリテーション病院に伝えられ、その患者さんの病態に適したリハビリが選択されます。

3~6か月のリハビリを終えた後は、その医療情報が、慢性期の療養型病院や施設に伝えられ、また在宅となった場合にはかかりつけ医にその内容が伝えられます。このように患者さんの病態、活動性、地域性、家庭状況などを考慮した急性期から回復期・維持期までの各段階に応じた最適な医療を目指すのが、連携パスなのです。

患者さんは、複数の医療機関からそれぞれの役割分担と診療内の説明を予め受けることにより、安心して治療を受けることができます。また急性期にどのような治療を受けたのか、内服薬や持病などの問題点を医療機関が共有することができるため、脳卒中の再発予防に役立ちます。